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人間とコンピュータの間にリアリティのある関係性を築きたい。ベルリンのアプリ Capsule.fm のファウンダー にインタビュー

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capsule.fm Espen Systad

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今回のインタビューの場は、日本を離れスタートアップが盛んなドイツのベルリンです。ベルリンのスタートアップでオーディオアプリを開発している Capsule.fm のファウンダー、Espen Systadさんに話を伺ってきました。 Capsule.fm は、人工パーソナリティがニュースや音楽、天気情報、モーニングメッセージなどのオーディオコンテンツをユーザーの状況や興味に合わせて届けてくれるアプリ。シンプルで大人っぽいビジュアルデザインが印象的です。

昨年春にアプリをグローバルローンチして以来、日本人ユーザーも増えているとのこと。そんな Capsule.fm にユーザーエクスペリエンスに対する考え方、国ごとのユーザーの違いなどについてインタビューを行いました。

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まず、現在開発しているアプリ Capsule.fm について教えてください。

Capsule.fmは二年半前に立ち上げたプロジェクトです。スマートフォンを触ることができず、コンテンツを読めない時間もオーディオでネットのコンテンツを届けることによって、真にモバイルなメディアをつくりたいという思いから生まれたアイデアです。コンテンツの種類はさまざまですが、主に音楽、ニュース、ソーシャルメディアの情報になります。 8カ月前にアプリをローンチしたときは、朝のアラームクロックがメイン機能のひとつでした。朝起きたときにその日の天気情報やニュース、音楽などを届けるというものです。3月にグローバルにローンチしてから、28カ国でアプリストアのニュースカテゴリーで一位を記録しました。特に、私の出身国でもあるノルウェーのマーケットでは全体カテゴリーで一位を記録しました。 その後も色々と改良を加えていて、連携する音楽サービスを増やしたり、他言語化にも取り組みました。現在は、英語、ノルウェー語、ドイツ語で提供しています。

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開発にあたって、特に大変だった点は何でしょうか?

人工パーソナリティ、つまりコンピュータが話をするので、その話し方や内容をきちんとユーザーに伝わるようなクオリティにするのはチャレンジングでした。ライブラリをつくって、そこに貯めていった文章をコンピュータに発話させるのですが、文章にさまざまな処理を加えて、できるだけ自然な発話になるようにしました。毎日少しずつ、改良を加えていきました。特にノルウェー語の声は最初はかなりひどかったのですが、小さな改良を日々加えていった結果、とても良いクオリティになりました。

映画『her/世界でひとつの彼女』を契機に投資家の反応ががらりと変わった

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映画『her/世界でひとつの彼女』を彷彿とさせるコンセプトですね。あの映画による影響はありましたか? 

Capsule.fm は映画『her』が出る前から開発していたんですけど、あの映画が公開されたあと変わったことと言えば、投資家の反応です。びっくりするほど、大きく変わりました。最初はコンピュータとコミュニケーションなんてできるわけないと懐疑的だったのが、あの映画を観たあとには、コンピュータと人間のああいうコミュニケーションが可能なんだと考え方を変えた投資家がかなりいました。

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ちなみに、『her』のようにコンピュータに対して話しかけることもできるんですか?

今はユーザーからのアクションというのは、スワイプやタップといった手による操作だけになります。人工パーソナリティに話しかけるという操作は、たとえば電車の中でそれをやるとちょっと変な目で見られることもありますし、まだ具体的には考えていません。

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最終的に描いているビジョンはどのようなものでしょう?

そうですね、オーディオブラウザというか、ユーザーとオーディオコンテンツを結びつけるオーディオプラットフォームを築くことです。その最終的なゴールに対して、まだ30%ほどしか達していません。日々ゴールに近づくために改良を加え、一歩ずつ前に進んでいます。

日本人ユーザーはシンプルすぎるインターフェイスだと使い方を迷ってしまう

capsulefm
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グローバルにローンチしていますが、国によってアプリの使い方というのはどのように違いますか?
国ごとにアプリの使い方の傾向が違っていて、とても面白いです。たとえば、日本人ユーザーはニュースを好む傾向にありますが、アメリカ人はまずニュースをオフにして、ジョークやエンターテイメントのコンテンツを聴きたがる傾向にあります。 それから、日本人のユーザーはアプリとのインタラクション、つまりアプリを操作する回数が他の国のユーザーよりも圧倒的に多いですね。たとえば、ある一定の時間内にアメリカ人がアプリに4回触っているとしたら、日本人は20回というかんじです。また、ロボットとか人工知能がより社会に浸透しているからでしょうか、日本人はコンピュータの声に対してより寛容で、不審がらないという印象を受けます。

まだ日本語版はリリースしていないのですが、英語の学習機会になるというポジティブな反応をもらうことも多いです。音楽コンテンツに関してはまだ模索中ですね。こちらではよく使われているSoundCloudやSpotifyといったストリーミング音楽サービスがまだ日本ではあまり使われていないようなので。ですが、日本にはボーカロイドカルチャーのような特殊な音楽文化もありますよね。そういったローカルな文化をいかにアプリに活かすかという点はまだ考えているところです。 あと、日本人のユーザーからはアプリのインターフェイスがあまりにシンプルすぎるため、逆に使い方が分からないというコメントもかなりもらいました。欧州のアプリのデザインは全体的にとてもシンプル、ミニマルにしているものが多いのですが、それだと逆にどこをタップすればいいのか分からないと混乱を招いてしまうようです。

人間とコンピュータの間にリアリティのある関係性を築きたい

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ところで、映画『her』のように Capsule.fm のパーソナリティに恋をしてしまったユーザーはいますか?
一つのコンテンツの再生を「1カプセル」とカウントしているのですが、一日に1000カプセルも聴いているようなユーザーがいます。英語版の女性パーソナリティはミランダというのですが、そのヘビーユーザーは、ミランダの性格をよく理解していて、少しでもミランダらしからぬメッセージを聴くと「これはミランダじゃない」とコメントしてくれるのです。彼は非常にミランダに親近感をもっています。 人工パーソナリティに関しては、最初はもっと説明的でユーザーとの距離を保ったものにした方がいいのではないかと思っていました。ですが、ローンチしてから意外とユーザーは人工パーソナリティの性格を楽しんでいることが分かったので、一貫した性格をつくることに決めました。たとえばミランダは結構生意気で強気な性格なんですよ。

「人間らしい」キャラクターをつくるためにその他工夫した点というのは、ユーモアを取り入れることです。ユーモアを入れることで、マシン独特の不気味さが取り除けるので。最終的に目指しているのは、ユーザーとコンピュータの間にリアリティをつくりあげることです。会話をする二者の関係というのは、それまでのコミュニケーションをベースに独特の関係性が築かれていきますよね。それまでの文脈があってこそ、理解できる、分かり合えるやり取りというものがあります。そうしたリアリティのある関係性を人間とコンピュータの間にもつくりあげたいのです。

ミートアップのお知らせ

Capsule.fmのファウンダーEspen SystadさんとTor Langballeさんは、2月に来日する予定です。 2月6日(金)の19時半より、Goodpatchでミートアップ「Capsule.fm × ベルリンスタートアップ Night!」を開催し、Capsule.fmのこれまでの開発ストーリーを共有し、日本人ユーザーの方々と交流したいと考えています。ミートアップの詳細、参加申し込みはこちらからどうぞ。


Espen Systad on Twitter: https://twitter.com/revesjef

Capsule.fm: http://early.capsule.fm/

Capsule.fm: http://early.capsule.fm/

Capsule.fm on Twitter https://twitter.com/CapsuleFm

Capsule.fm on Facebook: https://www.facebook.com/Capsulefm

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